[航空局] 特定操縦技能審査の適切な実施について(注意喚起)

全国滑空団体連絡担当者各位
JSA関係者各位
 
航空局運航安全課長よりJSA会長に添付資料をいただきました。
過去の事故例から標記実施の不適格が判明したことからの注意喚起です。
飛行機とグライダーの違いはありますが、趣旨をご理解いただき、運航の安全性向上に努めたいと存います。
 
 

今般、操縦技能審査員が個人操縦士に対し実施した航空法に基づく定期的な技能審査(特定操縦技能審査)について、少なくとも実技審査を実施せずに合格と判定し、虚偽の審査結果の報告を行ったことが判明したため、3月27日付で当該審査員に対し、操縦技能審査員の認定の取消し処分(不利益処分)を行いました(下記参考1参照)。小型航空機等の運航の安全性向上に取組む中で、今回の事案が発生したことは、航空安全に対する信頼を失墜させかねないものであり、極めて遺憾です。

 特定操縦技能審査制度は、操縦士に対し定期的(2年毎)に国が認定した操縦技能審査員による技能審査を義務付け、これに合格しなければ操縦等を行うことができないとしているものです。具体的には、当該審査においては、口述審査により最新の航空法規や昨今の事故等を踏まえた注意事項など操縦に必要な知識を有することを確認するとともに、実機又はシミュレータによる実技審査を通じて一連の操縦操作を確認すること等により必要な操縦技量を維持していることを確認し、その結果を踏まえ、操縦技能審査員が合否を厳格に判定しています。また、操縦技能審査員は、操縦士に対し審査を通じて判明した改善点等の助言を行うこととしており、操縦技能の更なる向上のための絶好の機会ともなっています。

 このように、特定操縦技能審査制度は、操縦士の操縦技能の維持・向上とともに、法令遵守及び安全意識の徹底を図るものであり、航空の安全確保にとって極めて重要なものです。このため、操縦技能審査員及び被審査者である操縦士の両方が当該制度の趣旨・目的を十分に理解し、双方が緊張感を持って厳格な審査を行うことが必要となります。

 したがって、操縦士の皆様におかれましては、
(1)航空安全情報ポータル(小型航空機の安全情報)(下記参考2参照)の内容の定期的な確認や関係団体等の安全講習会への積極的な参加等により、特定操縦技能審査制度を含めた航空法規等や最新の航空事故等を踏まえた注意事項(安全啓発リーフレット動画等)の最新の知識・理解を習得し、法令遵守・安全意識の向上を図ること
(2)特定操縦技能審査においては、当該制度の趣旨・目的を十分に理解し、口述及び実技による厳格な審査を受けるとともに、審査員からの助言等を踏まえ自らの操縦技量の向上のための研鑽を図ること
をお願いします。

 また、操縦技能審査員の皆様におかれましては、上記事項に加え、
(1)操縦技能審査員が我が国の航空安全の確保のために重要な役割を果たしていることを十分に理解し、審査員自らの知識及び技能の向上のための研鑽に努めること
(2)口述及び実技により的確な審査を実施し、その結果に基づき厳格な判定を行うとともに、的確かつ速やかな審査結果の報告を行うこと
(3)特に、2月21日付で改正した特定操縦技能審査実施要領及び同実施細則(下記参考3参照)に基づき、チェックリスト等を活用した審査記録の作成及び保存を的確に実施すること
をお願いします。

 国土交通省航空局としても、同種事案の再発を防止するため、特定操縦技能審査の結果報告の厳格な確認や立入検査等を通じて操縦技能審査員に対する指導・監督を強化するとともに、操縦技能審査員に対して受講が義務付けられている定期講習等により法令遵守・安全意識の徹底を図るなど、同種事案の再発を防止するための取組を進めていく予定です。
 万一、不適切な審査等の疑義が生じた場合には、操縦技能審査員及び被審査者の双方に対する調査を実施し、その結果を踏まえた厳格な措置を行うことになりますので、あらかじめご留意願います。

〔参考1:事案の概要〕
 平成29年8月14日に奈良県山辺郡山添町の山林に小型飛行機が墜落して機長と同乗者1名が死亡する航空事故が発生し、昨年7月25日に運輸安全委員会から事故調査報告書が公表されました。
 その後、大阪航空局が行った調査により、当該機長に対し操縦技能審査員が航空法に基づき実施した定期的(2年毎)な技能審査(特定操縦技能審査)のうち、平成26年4月27日に実施した審査においては、少なくとも実技審査を実施せずに合格と判定し、実技審査を含め特定操縦技能審査を行ったものとして大阪航空局に審査結果を報告したことが判明しました。
 また、当該操縦技能審査員が、平成30年2月11日に当該機長とは別の個人操縦士に対し行ったとされる特定操縦技能審査においても、少なくとも実技審査を実施せずに合格と判定し、実技審査を含め特定操縦技能審査を行ったものとして大阪航空局に審査結果を報告したことが判明しました。
 航空法施行規則第162条の14第2項の規定により、特定操縦技能審査は、口述審査及び実技審査により行うこととされていますが、当該操縦技能審査員は、上記審査において同規定に違反して、少なくとも実技審査を行わずに合格と判定し、虚偽の審査結果の報告を行ったものと認められました。
 これらの行為は、操縦士の航空法令や安全確保を含めた知識及び技能を定期的に審査する操縦技能審査員として、法令遵守及び安全優先の意識が大きく欠落しているものと認められ、操縦技能審査員としての適格を著しく欠くものであったことから、令和2年3月27日付で当該操縦技能審査員に対し、航空法第71条の3第4項の規定に基づく操縦技能審査員の認定の取消し(不利益処分)を行いました。

[参考1]

大阪航空局におけるプレスリリース(大阪航空局HP)

小型航空機等の運航に係る法令遵守及び安全優先の意識の徹底について

〔参考2〕航空安全情報ポータル(小型航空機の安全情報)

〔参考3〕特定操縦技能審査実施要領及び同実施細則等