1. グライダーガイド
グライディングの世界へようこそ!ここではグライダーと諸手続きなどについての簡単な説明を掲載していきます。
1.1 グライダーとは
グライダー(滑空機)は飛行機と同じ空を飛ぶ航空機の一つです。飛行機と同じように翼と車輪を持ち、人間が機体のコクピットに乗り込んで操縦しますが、飛行機と異なり、エンジンなどの動力を用いずに『滑空』し、上昇気流を利用することで、長時間、長距離のフライトをすることができます。ただし、滑空を始めるためにはある程度の高度と速度が必要であるため、地上から飛び立つときには曳航機とよばれる飛行機あるいはウインチという曳航装置とグライダーとをワイヤーでつなげ、ある程度の高度まで引き上げてもらう必要があります。
動力滑空機(モーターグライダー)と呼ばれる動力を備えたグライダーもあります。
収納可能な動力装置を備え、必要なときに動力を使うタイプのモーターグライダーもあります。このうち自力で離陸できる種類のものをセルフローンチ、離陸できないが飛行中に1m/s程度の上昇ができるものをサステイナーと呼んでいます。ヨットが出入港のとき、補助動力を使うことと同じようなイメージです。
スカイスポーツでおなじみのパラグライダーやハンググライダーも滑空する仲間であり、これらやセルフローンチ、サステイナーと区別するために、エンジン無しのグライダーをピュアグライダーと呼ぶこともあります。
グライダーは滑空性能を最大限とするために長い翼や細い胴体を持つものが多く、外見上のフォルムも特徴的です。翼の全長は15 ~18 m程度の長さが一般的ですが、用途などに応じて様々な形状のグライダーが製作されてきました。
1.2 グライダーの飛行
グライダーは、飛行中翼の周囲を流れる空気から揚力という力を常に受け続けています。この揚力はグライダーを持ち上げる方向に働くため、重力に抗して飛行することを可能としています。一般的なグライダーでは1mの高さがあれば、30~40 m程度の距離を飛行することができます。
しかし、揚力だけではグライダーは徐々に高度を下げ続けてしまいます。高度を上げるためには、外部から加えられるエネルギーがなくてはなりません。そこで、グライダーは上昇気流と呼ばれる上方へ向かって吹く風の流れを利用します。
上昇気流には、熱上昇風(サーマル)、斜面上昇風(リッジ)、山岳波(ウェーブ)、収束線(コンバージェンス)等といった種類があります。
熱上昇風(サーマル)は、太陽の日射によって暖められた空気が上空へ上昇していく風です。1 m/s以下の弱いサーマルもあれば、5 m/s~10 m/sといった強烈なサーマルが発生することもあります。
これらの上昇気流は普通人間の目で見ることはできません。グライダーパイロットは、気象条件や、地表面の形状や性質の違い、鳥の飛び方、雲のでき方・流れ方などを観察したり、飛行中に自分の体や機体に加わる力から、気流の流れ方を体感する等、五感を駆使し、上昇気流の場所・強さを推測して上昇気流を探します。
上昇気流を見つけたときは、極力その上昇帯の中でとどまるように旋回や速度調整をします。そこで高度を稼いだ後は、また次の上昇風を狙い飛び出していきます。一般的なグライダーのフライトは、このように上昇風を探しては高度を稼ぎ、次の目標へ向かうことを繰り返すことによって、長距離・長時間飛行が可能となるのです。
1.3 まずは体験搭乗
グライダーに興味がある、乗ってみたいという方は、全国各地にある滑空場・クラブで体験搭乗を実施していますので、各クラブHPなどを参考にまずはグライダーでの飛行を体験してみましょう。なお、フライトは気象条件などに左右されるため、常に実施しているわけではありません。体験搭乗は予約が必要なクラブもありますので、事前に確認しておくことを推奨します。
体験搭乗を案内しているクラブ(各クラブにお問い合わせください)
板倉滑空場(群馬県板倉町 公益社団法人日本グライダークラブ) ふるさと納税での体験飛行
羽生滑空場(埼玉県羽生市 NPO法人羽生ソアリングクラブ) ふるさと納税でのモーターグライダー体験飛行
加須滑空場(埼玉県加須市 NPO法人学生航空連盟) ふるさと納税での体験飛行
大利根飛行場(茨城県稲敷郡河内町 日本モーターグライダークラブ) ふるさと納税での体験飛行
大野滑空場(岐阜県大野市 大野グライダークラブ) ふるさと納税での体験飛行
久住滑空場(大分県竹田市 NPO法人九州グライダースポーツ連盟)
1.4 操縦練習、ライセンス取得
グライダーを一人で操縦するためには、国家資格である技能証明(ライセンス)を取得することが必要です。技能証明を取得するまでは、航空身体検査指定機関で航空機操縦練習許可書を取得して、各クラブに所属して練習生として練習を始めることになります。操縦練習は14歳から開始できます、ライセンス(自家用操縦士)は16歳から取得が可能です。高校・大学などには、部活動として航空部(グライダー部)が活動している学校もあります。各地の滑空場にはライセンス取得のトレーニングが出来る社会人クラブもあります。各クラブ毎に特色がありますので、場所や費用、雰囲気等を考慮してクラブを選びましょう。
☆各クラブの場所、HPアドレスについてはこちらを参考にしてください。
クラブでわからなかったこと等がありましたら、ご遠慮なく日本滑空協会にお問い合わせください。
日本滑空協会 事務局 :TEL 03-3519-8074 / 問い合わせフォーム
1.5 グライダーの楽しみ方
グライダーには様々な楽しみ方があります。グライダーを始めるときはまずは一人で飛べるようになること、ライセンスを取得することが目標になると思います。自分なりの目標を見つけるとフライトが楽しくなります。フライトが終わった後は、仲間達とともにその日のフライトを振り返りながら語り合うのも楽しいです。また、飛ぶことだけで無く、クラブに所属して普段の生活ではなかなか出会う機会の無い業界の人と話すのも楽しいです。
◆ライセンスや単独飛行(ファーストソロ)をめざして教官と一緒に練習を積む。
◆滑空記章の取得を目指す。
◆ソアリングの技術を高め、長時間のフライトを行う。
◆競技会に参加し、腕を競う。
◆サーマルだけではなく、リッジやウェーブなどを利用した山岳飛行に挑戦する。
◆長距離飛行(クロスカントリー)に挑戦する。
◆国内だけでなく、海外でフライトする。
◆モーターグライダーのライセンスを取得し、全国さまざまなエリアを飛行する。
◆クラブの活動に参加する。
◇etc.
グライダーの最新事情(日本航空協会 「航空と文化」2021年新春号)
2. データ
2.1 滑空人口(愛好者数)
(2022年時点)
2,925人(内女性 348人、女性比率12%)
25歳以下 1,073人(比率37%)
年齢構成
2.2 飛行時間・飛行回数:
16,000時間・5.4万回
2.3 飛行活動場所:
34箇所
2.4 団体数:
41団体
2.5 登録滑空機数
649機
(出典:国土交通省 情報公開ページ 登録航空機数の推移(グラフ:全数)
2.6 耐空検査取得機数
約300機(定期 298機、新規2機)
(出典:2021年3月耐空検査員会議資料)
2.7 技能証明
(以下2009年時点 出典:技能証明取得後の技量維持について)
滑空機 技能証明 発行累計数 7,486名
内有効な航空身体検査証明を有する操縦士の数 869名
滑空機 操縦教育証明 発行累計数 1,022名
内有効な航空身体検査証明を有する操縦教育証明保持者の数 253名
2.8 特定操縦技能審査
2023年1月16日現在
合格者数 延べ 3,603名(2013年からの累計)
操縦技能審査員 認定数 東京局 162人 大阪局 83人 合計 245人
2.9 滑空記章発行数
最終更新