2015年から2016年にかけて、残念なことにグライダー事故が頻発し、多くの滑空スポーツ愛好者の命が失われました。

滑空スポーツを愛する私たちが飛行活動を行うにあたっては、
* 第三者に迷惑をかけることを徹底的に防ぐこと
* 滑空スポーツ愛好者が命を失うことや後遺症で苦しむ事態を防ぐこと
を前提に活動しなければなりません。

そのために、JSAは2016年10月から愛好者の皆様に以下を提言、遵守することをお願いしております。

提言1:スピンによる事故を防ぎましょう
過去の滑空機による死亡事故の三分の二は低高度におけるスピンによる墜落です。スピンには明確な失速の兆候がまったくない、あるいはあっても気が付かないことがあるためです。 

このようなスピン事故を防ぐため、愛好者の皆様には次の対策を取ることをお願いいたします。

①低高度での飛行速度を高く保つ
スピンは、飛行速度、滑り、Gなど様々な要因が組み合わさることにより発生します。着陸しようと決心したら、飛行速度を乗機の推奨着陸進入速度(速度計の黄色三角のマーキング)まで増速し、それ以上の速度を保った状態で着陸しましょう

②スピンのメカニズムを知る
水平失速の兆候としては、バフェット、機首の位置が高い、風切り音が減る、舵の効きが悪い、低速度・・・などがありますが、スピンにはこれらの兆候がまったくないことがあります。講習会を通して、あるいは積極的に自らスピンのメカニズムを勉強し、どのような操作をした場合にスピンに入るかを認識しましょう。

➂スピンに近づかないトレーニングの励行
低高度での一点集中、注意力散漫により不適切な操作を行って不意にスピンに入った場合は、何が起こっているかわからない間に地面に到達してしまいます。低高度スピンからの回復は困難です。それぞれのクラブでも低高度でのスピンに入りやすいシナリオを想定し、状況認識力を向上するトレーニングを日頃から実施することによって、組織的にスピン事故防止に取り組みましょう。

④スピンリカバリートレーニングの励行
実際に入ってしまったスピンからリカバリーできることはグライダーパイロットとして身につけておかなければならない必須のスキルです。
JSAでは、機長として飛行する全てのグライダーパイロットにスピンを実体験していただくとともにスピンに対する正しい知識を得ていただくために、座学資料を提供し、各飛行クラブ等にて講習を実施、受講された方にはスピンリカバリー受講証を発行しております。2018年3月末までに374名の方々が受講されています。

提言2:安全情報を共有しましょう
各飛行クラブでは、飛行当日に飛行前ブリーフィングを行い、気象、空域、滑空場などの情報を共有して活動に入りますが、特に事故やイレギュラー運航等が発生した場合にはJSAから全国滑空団体にその情報をお伝えし、飛行前ブリーフィングで注意喚起、具体的な対策等を紹介していただいております。
 また、安全情報を共有できるよう、JSAへの連絡やVOICESの活用に是非ご協力して下さい。

2017年においては、各飛行クラブを通じて上記提言に積極的に取り組んでいただいた結果、グライダー事故は減少傾向となっております。愛好者の皆様には引き続き安全で楽しい飛行活動を継続いただきますよう、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

最終更新 4月 12, 2018 @ 23:54